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(2)構造
a)上部工
上部工は、鋼管によるトラス構造が上部の床板(連続鋼桁)を支持する楕造である。平面的にはR:1,300mのアーチ状である。トラス高さは7m、幅員は11.2mである。鋼管トラスの直径は0.95〜1.2m、肉厚は35〜55mmである。プレース材の直径は0.51〜0.62m、肉厚は14.3〜22.2mmである。デッキの鋼板の厚さは12mmで台形状のスチフナーで補強されている。鋼の降伏応力度は、弦材およびデッキについては460Mpa、プレース材については、355Mpaである。全鋼重は6,250tである。

 

b)ポンツーン
橋梁は長径34m、短径20m、高さ6mまたは7mの楕円形のポンツーン7基によって上部工を支持する。両端のポンツーンは潮位変動に対応するため1mの余裕高さをもっていて、喫水調整をして潮位に対応する。各ポンツーンは無係留状獺であり、潮流力、風荷重、波漂流力に対しては橋梁の両端部で支持されている。ポンツーンは軽量コンクリート製であり、全コンクリート量は4,800m3である。ポンツーンは水密性が確保された9つの隔室に区分されており、ポンツーン内部へはハッチから入ることができる。ハッチは浸水を防止する構造となっているが、ハッチの開閉はすべてモニタリングシステムにより管理されており、ハッチの閉め忘れが無いよう工夫されている。ポンツーンの各隔室には浸水を監視するセンサーがそれぞれ配置されている。鉄筋の防食のため電気防食がなされている。

 

c)両端の支持方式
橋梁の両端は長さ12m、直径540mm、肉厚140mmの中空断面の鋼製のフレキシブルロッドによって拘束されていて、軸力、せん断力、上下変位、ねじりに抵抗する。ただし、水平および鉛直軸回りの曲げについてはヒンジとして働く。このフレキシブルロッドには高張力鋼(降伏応力550MPa)が使用されており、イタリアにおいて製作された。両端のフレキシブルロッドにはそれぞれ8箇所に歪ゲージが貼付されており常時、応力がモニタリングされている(写真-2.1.3)。両端のフレキシブルロッドの支持部分には55MPaの高強度コンクリートが使用されている。
また、橋梁両端の上下変位および水平変位は積層ゴムによって支持されている。横層ゴムの許容変位は上端が水平方向に±30mm、上下方向に±20mm、下端が水平方向に±10mm、上下方向に±20mmである。上下方向を支持する積層ゴムの許容耐力は1000tfである。写真-2.1.4は下端側の積層ゴムを示したものである。

 

d)ポンツーンと上部工の接合構造
ポンツーンと上部工は4箇所で接合されているが、このうちの対角位置にある2箇所については固定、他の2箇所については、上下方向にのみ拘束され、水平方向にはフリーになっており、水平面内のねじれ力を解放できる構造となっている。

 

 

 

 

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